快気祝いの正しいマナーとは?注意すべきタブーを解説

最終更新日:2024.12.13

病気やケガをして入院してしまったとき、仕事の面でフォローをしてもらったりお見舞いにきてもらったり、ということがあるはずです。その後、無事に退院できた際には「快気祝い」「快気内祝い」といって、退院の報告とお世話になったお礼を兼ねたお返しの品を贈るのが一般的です。
そこで今回は、快気祝いや快気内祝いの基本とマナーについてご紹介します。



快気祝いとは?快気内祝いとの違いは?



「〇〇祝い」「〇〇内祝い」は、何かの節目でのお祝いとお返しという意味で使われる言葉です。しかし、「快気祝い」「快気内祝い」の場合だけ意味が異なります。「快気祝い」と「快気内祝い」はどちらも、病気やケガをした本人がお見舞いなどの心遣いをいただいた人に対して贈るものです。
入院中や療養中に仕事上でフォローをしてもらった方や実際にお見舞いに足を運んでくれた方には「快気祝い」もしくは「快気内祝い」を贈ります。

では、「快気祝い」と「快気内祝い」は具体的にどのような点で異なるのでしょうか。



快気祝いとは

「快気祝い」とは、病気やケガが全快してよくなった場合に、お見舞いに来てくれた人に感謝と報告を兼ねたお返しをすることです。

入院や自宅療養をしていた人の病気がほぼ完治し、今後の通院が不要な場合には「快気祝い」を贈りましょう。



快気内祝いとは

対して「快気内祝い」とは、退院はしたものの全快には至らず、通院や自宅療養を続ける場合に贈るものです。病気やケガの完治をお知らせして祝う「快気祝い」と異なる点はその部分です。

「快気祝い」も「快気内祝い」も、入院中・療養中のお見舞いやお世話になったことへの感謝の気持ちを表すものです。支えてくれた方へお礼の気持ちをしっかり伝えるようにしましょう。



全快祝い、御見舞御礼、退院祝いとは?



「快気祝い」と「快気内祝い」とは別に、「全快祝い」「御見舞御礼」「退院祝い」もあります。それぞれどのような意味を持っているのか、みていきましょう。



全快祝いとは

「全快祝い」は、「快気祝い」とほぼ同じ意味と考えてOKです。入院や療養をしていた人が完治した場合、お見舞いに来てくれた方やお世話になった方に対し、お礼と報告を兼ねて贈るのが「全快祝い」です。全快という文字の通り、完全に良くなったことをお知らせするときに用いましょう。



御見舞御礼とは

「御見舞御礼」は「快気内祝い」と同じような役割を担うものです。退院はしたものの、自宅療養やリハビリが続く場合に用いるものです。お見舞いをもらったけれど、しばらく入院が長引きそうな場合も「御見舞御礼」を贈りましょう。また、残念ながら本人が闘病の末に亡くなってしまった場合も「御見舞御礼」を贈るのが適しています。



退院祝いとは

ここまでは、病気やケガをした本人(亡くなった場合は親族)がお世話になった人やお見舞いにきてくれた方に対して贈る場合を紹介しました。
反対に「退院祝い」は、病気やケガをした人に対し、お見舞いが間に合わずに退院を迎えた場合や、全快ではないものの退院し、自宅療養や通院を続けられる場合に贈るものです。



快気祝いで注意すべきタブー



贈ってはいけないもの

<後に残るもの>

快気祝いでは「後に残るもの」は避けるのがマナーです。病気や怪我が残らずに治ることを願うことから、消えものが好まれるようになりました。反対に残るものは、病気や怪我の回復が完全ではないような印象を与えます。飲食物は消費がしやすいことから人気があり、石けんや洗剤は「病気を洗い流す」という意味が込められており、こちらも人気があります。


<刃物>

快気祝いを含めお祝い事では、刃物の贈り物は避けるべきとされています。 刃物は「縁を切る」ことを連想させるため、相手に不快な印象を与える可能性があるからです。また、怪我をする可能性がある刃物は快気祝いとしてふさわしくありません。


<緑茶>

日本では緑茶が弔事や法事でよく用いられるため、不吉な印象を与える可能性があります。快気祝いは、回復の喜びと今後の健康を願うものなので、明るい前向きなイメージのものを贈りましょう。


<寝具類>

快気祝いでは、寝具類の贈り物は「病床」を連想させるので避けるべきとされています。枕や毛布以外にパジャマも含まれるので、快気祝いの際は別のものを選びましょう。


<観葉植物・鉢植えの花>

快気祝いでは、観葉植物や鉢植えの花は「根付く」という状態から「(病で)寝付く」と連想されるので避けるべきとされています。花や植物を贈りたい場合は、鉢植え以外のものを選びましょう。


<割れる食器類>

快気祝いでは、皿やグラスなどの割れやすいものは、「切れる」「壊れる」ことから、不吉な意味に捉えられることがあるので避けるほうがよいでしょう。ただし、食器類には新生活を願う意味もあり、近年は慶事にも用いられるようになりました。そのため、必ずしも贈ってはいけないものではありません。


<ハンカチ>

ハンカチは漢字で「手巾」と書きます。読み方は「しゅきん」ですが、「てぎれ」と読むこともできるので別れを連想させ、快気祝いには向いていません。しかし、最近ではあまり意識されることが減り、華やかなデザインやおしゃれなものは贈られるようになりました。ただし、白いハンカチは弔事を意味するので、贈らないほうがよいでしょう。


<櫛>

快気祝いでは、櫛(くし)」は「苦(く)」と「死(し)」を連想させるため、お祝いにはふさわしくないと考えられています。そもそも「4」と「9」はどちらも忌み数とされており、不吉なイメージがあると古くから避けられてきました。他の贈り物をする際も、忌み数に関連するものは避けたほうがよいでしょう。



高額なお祝いは避けること

あまりに高価な品は相手に気を使わせ、負担を感じさせてしまう恐れがあります。 快気祝いは、感謝の気持ちと回復の喜びを伝えることが目的のため、自分では買わないけれどもらったら嬉しいと感じられるような、少し贅沢なものを選ぶのが理想です。



相手の体調やアレルギーへの配慮をすること

快気祝いを贈る際は、相手の体調やアレルギーに配慮することが大切です。 食品を贈る場合は、アレルギーや体に負担をかけるものを避け、相手が安心して口にできるものを選びましょう。特に、通院している場合は食事などに制限がないか確認しておくことをおすすめします。



快気祝いにギフトカード類を贈るのはタブー?

以前は金額がわかるものは失礼なので避けたほうがいいと考えられていましたが、相手が自由に使える実用性の高さから、徐々にギフトカード類も贈られるようになっています。ただし、高齢者や相手とあまり親しくない場合は失礼な印象を持たれる可能性があるので、場合によっては避けたほうがいいでしょう。快気祝いにギフトカードを贈る際のマナーについてはこちらの記事を参考にしてください。

快気祝いに商品券を贈る際のポイントについて紹介!



絶対間違えない!各お祝いの目的とのし早見表



各お祝いの目的とのし早見表は以下のとおりです。

種類 贈る人 のし・水引 贈るシーン
快気祝い 病気・怪我が完治した人から のし:快気祝
水引:紅白の結び切り
病気や怪我の後、通院の必要がないほど回復した際のお見舞いのお礼として贈る
快気内祝い 通院や療養が必要なものの退院した人から のし:快気内祝
水引:紅白の結び切り
お見舞に来てくれた人に回復のお祝いとして贈る
御見舞 親族や友人、知人から のし:なし
水引:なし
※掛け紙のみ
病気や怪我をした人の回復を願い贈る
御見舞御礼 病気・怪我をした人から のし:御見舞御礼
水引:紅白の結び切り
入院が長引く、または完治の見込みがない場合にお見舞いへの感謝として贈る
全快祝い 親族や友人、知人から のし:快気祝、全快祝
水引:紅白の結び切り
相手の完治を祝って親しい人から贈る
退院祝い 親族や友人、知人から のし:祝御退院
水引:紅白の結び切り
相手の退院を祝って親しい人から贈る

お祝いの種類ごとに、それぞれの目的とマナーがあります。 快気祝いや御見舞など、誰が誰に伝えるかを冷静に、場面に応じた「のし」と「水引」を正しく選ぶことが大切です。



お礼の品物は何がいい?相場は?



快気祝いは、基本的に「病気やケガがなくなったこと」を祝い報告するものなので、災いが残らないように」という願いを込めて「消えもの」を贈るのがマナーとされています。例えば、石鹸や洗剤、タオルなどの日用品、「滋養強壮をつけてください」という意味も持つ果物、普段はあまり買わないような高級菓子なども良いでしょう。また、金額が分かることが失礼に当たらない方には、商品券・ギフトカードもオススメです。相手に迷惑にならず、嵩張らず、賞味期限の心配もないので非常に贈りやすいです。



金額の目安

近年の快気祝いは、いただいたお見舞いの2分の1、3分の1が料金相場とされています。10,000円の金品をいただいた場合は、お返しの金額は5,000~3,000円を目安としましょう。



連名でお見舞いいただいた場合

連名でお見舞いくださった方々には、全員分の快気祝いを用意するのがマナーです。ただし人数分用意するのは費用がかさんでしまう場合もあります。たとえば職場の方々など、の場合は職場で飲食できるような個包装のお菓子などが良いでしょう。



病院関係者の方々へのお礼

入院中お世話になった医師や看護師の方々にお礼をしたいと思う方も多いと思いますが、基本的には不要と考えて差し支えありません。病院の規則として患者さんからの贈り物を受け取ってはならないケースも多く、無理やりお渡しすることは非常に迷惑になってしまうのでご注意ください。



お礼のタイミングは?



快気祝いや快気内祝いを贈るタイミングは、だいたい【退院後10日~1ヶ月後】が一般的と言われています。しかし負担の軽い手術や怪我で、退院後すぐに動ける元気な状態であれば、退院後10日後を待つ必要はありません。特に心配をかけてしまった方へは、早めのご報告を差し上げた方が、相手にとっても安心でしょう。

お礼をするタイミングはお見舞いくださった相手によっても異なります。以下を目安にしてみましょう。

  • 親族・親戚…退院後1週間~10日以内
  • 隣人・ご近所の方…退院後1週間~10日以内
  • 職場の方…職場復帰後から1週間以内
  • 遠方の方…退院後1~2週間以内



熨斗(のし)や水引はどうするか?



それではここからは、それぞれにおけるのしの違いなどのマナーをご紹介します。



品物の表書きは、退院後の通院が必要ない場合は「快気祝」「全快祝」「御礼」とし、退院後に通院や自宅療養が必要な場合は「御見舞御礼」「快気内祝い」「退院内祝い」とします。下には病気やケガをした本人の名前を姓だけ入れるのが一般的です。

水引は、「病気やケガは一度きりであるように」という意味を込めて結び切りの5本か7本のものを用いましょう。

残念ながら療養中だった本人が亡くなってしまった場合には、「御見舞御礼」とし、のしではなく無地の短冊を添えるのがマナーです。

レストランや会食、自宅にお世話になった方々を呼んでの快気祝いパーティを行う場合は、お礼の品を用意する必要はありません。もしそれでも何かモノを渡してお礼を伝えたいという場合は、消耗品を用意すると良いでしょう。



お礼文をどうするか?



品物だけをお贈りするだけではなく、わざわざお見舞いに来てくれた感謝の気持ちを添えて一緒に贈るとより想いが伝わります。



手紙でお礼を伝える場合

お礼の手紙の書き方をご紹介します。例文を参考に、自分の状況や相手との関係性に合わせてアレンジしてみてください。

拝啓 〇〇の候 〇〇様にはご健勝のこととお慶び申し上げます。

入院中はご多忙の中わざわざお見舞いにお越しいただいた上、過分なお気遣いまで賜り厚くお礼申し上げます。
ご心配をおかけいたしましたが、おかげさまで〇月〇日に退院いたしました。
しばらくは自宅にて療養し体力の回復に努めますが、本復の際は改めてご挨拶にうかがいたいと存じます。
まずは略儀ながら書中をもって御礼かたがたご挨拶申し上げます。

敬具

平成〇年〇月〇日
なお内祝いの印として心ばかりの品をお送りいたしますので、何卒ご笑納くださいませ。



メールでお礼を伝える場合

続いては、メールにてお礼を伝える場合に押さえておくべきポイントをご紹介します。

  1. 件名はわかりやすく
    件名はわかりやすく記載するのがマナーです。「〇〇(本人の名前)より退院のご報告」や「〇〇よりお見舞のお礼」など、パッと見てお礼のメールということがわかるように書きましょう。

  2. お見舞いに来てくれたこと、お見舞いの品への感謝を伝える
    「先日はお忙しい中、お見舞いにお越しいただきありがとうございました。また、思いがけず過分なお心遣いをいただき、恐縮しております。」

  3. 直接伺って快気祝い・快気内祝いの品を渡せないことを詫び、送付したことを伝える
    「おかげさまで本日退院しました。本来であればお伺いしてお礼を申し上げるべきところですが、真っ先に退院のご報告をと思い、ご連絡した次第です。」
    「ささやかではございますが、快気祝いの品を本日お送りしました。どうかご笑納下さい。」

  4. 「今後ともよろしく」という旨を伝える
    「今後とも変わらぬご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」

以上のポイントを押さえておくことで、しっかりとしたお礼メールを送れるはずです。相手との親しさによって言い回しを変えたり砕けた表現を入れたりと、適宜アレンジをしてくださいね。



まとめ



混乱してしまいがちな「快気祝い」と「快気内祝い」。しっかり基礎を押さえていざというときに対応できるようにしておきましょう。
お世話になったりお見舞いにきてくれた方への感謝の気持ちを込めて、退院した際には「快気祝い」「快気内祝い」はしっかりお贈りしてくださいね。

公開日:2019年12月18日



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